冬ざれ

水仙のひとむら咲ける野辺にいて君の小さき命を思う


ほんのりと甘み恋しき秋の夜はマーマレードでロシアンティーを


画材屋の日本画絵の具の色のよにあいと言っても濃いも薄きも


雪の日の郵便受けに画材屋のダイレクトメールことりととどく


しんしんと冬ざれてゆく石室にたましひひとつことりと落ちた


木蓮のつぼみ百まで数えたら花咲く春になるかしら



梅の精 雪にスケッチする吾にささやきかける人の声して


水張りでピンと張りたる画用紙は何も描かれぬゆえの清らさ

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