シャルル・ド・ゴールはだーいきらいだー。

空港には着いたがこれからが大変。苦難と、そして感謝、の連続なのであった。

入国審査は簡単に済んだ。荷物もまあどっかへ行ってしまうことも無く無事出てきて受け取ることが出来た。

しかしそこから何処へいっていいのかカイモク分からないのである。

今日の宿泊予定はオテル・デュ・ブラバン。パリ北駅の近くらしい。とりあえずRERの北駅に行かねばならない。

連れのAが「バスは酔うからいやだ。」と言うものだから、電車の駅まで行かねばならない。ガイドブックではどうも無料バ

スというので行くらしいのだが、、。それが何処から出るのか分からない。エールフランスのおネエさんの所へ行って、

「ラ・ガール。ノール」へ行きたい。というようなことを言うのだがどうも通じていないらしい。あっちこっちで聞いて見るが、

どこでも「知らん」とか言われて途方にくれてしまう。座っているおばさんに聞くと、おばさんは英語を話す人のようで、英語

で聞くがおばさんも知らないらしい。そうこうしているうちに、「私が見てくる。」と言って僕に荷物を任せて、連れのAが向こ

うへ行ってしまう。荷物を置いたままでは何処へもいけないので待っていると、ずかずかと戻って来て、「とにかく外へ出よう

」と荷物を持って歩き出す。仕方が無いので付いて外に出るがやはり分からない。そうこうしているうちにもう一度「地球の

歩き方」を見直して、駅の名が「ガール・デュ・ノール」と読むらしいと分かる。ちょうど来合わせたバスの運転手さんに

「ガール・デュ・ノール」へ行くか?と聞くと「ギャル・デュ・ノル?」と聞き返し、後方を指差し「ブルーバス」と教えてくれた。

「ブルーバス」が「ギャル・デュ・ノル」へいくらしいので、それらしいのに乗り込む。「ギャル・デュ・ノル」に行くかと聞くと行く

と言う。料金は?と聞くと何かよく分からないうちにバスは走り出した。暫く走りバスの運転手さんが「ここで降りろ」という

ようなことを言う。お金を払おうとすると、どうも要らないらしい。どうしようか困っているところへ「日本の方ですか」と声を

掛けてくれる人がある。見ると日本の人らしい。

「北駅はこの下を降りていったところから乗ればいいですよ。」と教えてくださる。地獄に仏たはこのことだ。

お礼を言って下へ降りていく。お腹が空いたのでとりあえず何か食べたいということで、駅のファーストフードというか、サ

ンドイッチ屋というかで、フランスパンに何かはさんだものとジュース、コーラなどを頼む。初めて10フラン札を使いお釣り

を貰う。お釣りを貰ったのだが、どれが偉くてどれが偉くないのか、日本円で例えればどれが500円でどれが1円、5円

かまったく見当が付かない。それでジャラジャラと小銭を並べ「これは小さいから偉くないな、これは大きいから偉いんちゃ

うか。」「これは情けなそうやから安もんやで。」などと勝手なことを言い合っていた。(あとで分かるのだが、その情けなそ

うーと言っていたのが実は一番偉くて10フランなのであった。)

連れがトイレへ行きたいと言うので、インフォメーションだかキップ売り場だかのお姉さんに聞くと上だと言う。いろいろあっ

たが、とりあえず連れはトイレを探し当て戻ってきた。駅のトイレは無料だったと言う。そうこうするうち、発車の電光掲示

板を見ると、ギャル・デュ・ノル方面は3・5・乗り場から出ているらしい。ちょうど今出た所のようだ。発車の15分だか20分

だか前にプラットホームナンバーが表示されるらしいが、とりあえず3・5のホームに降りてみる。暫く待つが電車は来ない

。そうこうするうち向こうのホームに列車が来た。どうなんだろうと思いつつ待っていた。そこへキリッと制服を着た、特急

の車掌か運転手、もしくは外国航路の船長のようなおじさんが来て「このホームは電車は来ないよ。」というような事を英

語で言ってくれた。「ギャル・デュ・ノルへ行きたい」と言うと、向こうに止まっている電車だと言う。慌てて向こうのホームへ

と向かう。念のため、乗っている人に「パルドン、ムッシュー。プラレア、ギャル・デュ・ノル?」(ギャル・デュ・ノルに行きます

か?)と聞いて見る。「ウィ」(はい)というのでやっと安心である。

ギャル・デュ・ノルにはわりと速くついた。しかしすでにあたりは暗くなり始めていた。どう行けばいいのだろう。兎に角人に

聞くしかないとキップ売り場の3人のおねえさんに「ホテル・ブラバンはどこか」とブラバンから送ってもらったファックスの地

図を見せて聞く。おネエさんたちはキップ売り場の扉を開けて相談してくれ、「右へ行って階段を上って左だ。」というような

ことを言ってくれた。

とりあえず右へ行って階段を上るが、改札口があるだけで出口はない。

どうしたものかと相談していると、黒人の背の高いおにいさんが、どうしたのか、というようなことを聞いてくれた。地図を見

せると此処を出て向こうだという。此処を出ると言ってもどうやって出るのか。出口がない。困っているとそのおにいさんは

閉まっていると思っていたガラスの扉を押して開けて見せてくれた。

「オオッ。これは扉であったのか。」ぴったりと閉まっていたのでまさか開くとは想像もしなかった。おにいさんに礼を言い、

言われたほうへ行って見る。とりあえず駅の外へ出た。

もうあたりは夜だ。ところがどうも地図と駅前の道路の感じがうまく一致しない。とりあえず向こうだろうと歩き出す。

何人かの人に聞いたり、何か目標になる建物、ホテルなどが近くにないか、と捜すが見当たらない。困っていると白人の

おにいさんが話しかけてくれる。「地球の・・・」の地図を見せるが分からないらしい。それで「ホテル・ブラバン」からのファ

ックスの地図を見せると、ちょっと分かったようで、「向こうだ」と言って地図を持って歩き出す。ま、ついていくしかないので

後を追う。連れのAの荷物を持ってくれると言うが「自分で持ちます。」と断る。これはガイドブックなどに「荷物を持ってや

る。」と言ってそのまま逃げる泥棒が多いと書いてあったし、コレクターのMさんのも「向こうから声をかけてくるやつには

気をつけた方がいい。」と言われていたことにもよる。それに案内してもらっているのに荷物まで持たせては悪い、という

気持ちもあった。そのおにいさんは地図を見ながら、あっちだ、こっちだ、と捜してくれ、10分後くらいにはついに「ブラバン

」を探し当ててくれた。

もう大感激で、おにいさんも喜んでくれ、知っている限りのお礼の言葉を言って、硬い握手をして別れた。

なんていい人なんだろう。こんないい人をすこしでも疑った自分が恥ずかしくなるくらいであった。

フランスにはなんていい人がいるんだろうという感謝の気持ちでいっぱいであった。

 やっと今夜のホテル「ブラバン」にたどり着いた。、、、が最後の難関が待っていた。

「真っ暗な階段。」話には聞いていたが、階段が真っ暗、月明かりで上るような感じである。やっと部屋にたどり着くが「水

」がないことに気づく。そうフランスは水道の水は飲めないのだ。(大抵の本のそう書いてある。)

水をなんとかしなければならない。ジュースでも売ってないかと出て見るが、それらしい店も見当たらない。

マクド(ナルド)があったので、そこでジュースでも買おうということになり、ジュースとビッグマックを買い部屋へ戻る。

くたくたに疲れたので、シャワーを浴びてじき寝てしまった。